先日、東京へ行って来た。就職活動のためである。約一週間の滞在だったが、この間の出費といったら、貧乏学生の私にとっては目が飛び出る程であった。
 まず、もうスカイメイトの使えない年齢に達している私は、ほぼ正規の値段で福岡から羽田のチケットを購入した。正月休みの最中だったから、普段よりも相当高い値段である。去年、誕生日を迎えてから以降、飛行機を利用する度に、一浪したことを悔しく思う。ああ、勉強しときゃよかったな、と。
 羽田に着いたら着いたで、そこから約2時間半かけて、祖父の家のある千葉まで移動しなければならない。大きな荷物を抱えての電車の乗り継ぎも大変だが、移動代だって馬鹿にならない。2千円以上かかるし、おまけに祖父の家は駅から遠いし。その日一日分のエネルギーを使い果たしてしまう。若いくせに、と思われるかもしれないが、とにかく、疲れるのだ。
 九州からスーツを持って行ったらシワになるから、と言う母の助言を素直に聞いた私は、東京で購入した。初売り後のバーゲン時期だったが、リクルートスーツは別であった。まあ、高い高い。シャツも合わせると、4万円以上の出費である。これは、実は私の祖母に出してもらったのだが、この金額はさすがに申し訳ないという気持ちになった。
 私の場合、祖父母の家に寝泊まりするから、ほかの学生と比べて宿代がかからなくていいじゃん、と思われるかもしれない。では、その浮いた分のお金を何に使うかといえば、買い物に使ってしまうのである。やっぱり私も女の子。東京は九州と比べてデパートの数がハンパじゃないし、しかも安い!品数も多いし、大して欲しくないものまで買ってしまう。安いから数多く買ってしまい、結局はお金を使い果たしてしまう。それなりに満足感はあるのだが、九州に帰ってからの生活に困ることになるのである。ああ、馬鹿ね、私って。
 私は、小さい頃千葉で過ごしたから、少しは東京の地理にも詳しいはずなのだが、今回新宿駅の構内で30分くらい迷ってしまった。無駄に大きな荷物を抱え、小田急線の乗り場を捜してさまよった。途中、山姥族といわれている女性たちを大勢見かけた。なぜ、彼女たちはあんなにデカイんだろう。「大きい」ではなく、「デカイ」という表現が当てはまる。やっぱりあれで上から見下ろされたら、恐いよなあ・・・。人の多さにも慣れていたはずなのに、昼間から満員の山手線に乗ると、疲れというよりも、怒りがこみ上げてきた。「どっから湧いてきたんだ、この人たちは」という怒り。私もすっかり九州に染まっているわね、と思い、東京は、やはり住むところではないと自分自身に言い聞かせていた。
 この私の決心は、就職試験の前だったので、「負け惜しみじゃないわ」とまたもや自分に言い聞かせつつ、帰りの飛行機はスカイマークエアラインズにした。以前、Y2K問題を家族で話していた時に、私の弟が「スカイマークは真っ先にY2Kに引っ掛かりそうだよね」と言っていたのを思い出し、少々不安にもなったが、やはり金額に惹かれた。実際何事も無く帰ってこれたし。
 結局、振り返ってみると、一体何しに東京まで行ったんだろう。買い物をして、親戚とご飯を食べて。久しぶりに会う孫だから、と美味しいものを食べさせてくれたし、とても満足したけれど、本来就職活動の為に東京まで足を運んだのに、太って帰ってくるなんて、何という悪循環!
 まあ、いっか。こんなものかも知れない。お土産に買って来た榮太郎飴も、FMCの皆に喜んで?もらえたし。今度東京に行く時は、「買い物するぞ!」という意志をもっていこう。そうすれば、あんまり後悔しなくて済むかもしれない。

「エルニーニョふみか」…WEBラジオFMC番組《楽しい日本語》《就職トークバラエティ・トラエもん》他出演中。



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