熊本シティFMにおもう

「マルチメディアの話」

1996年10月頃執筆

 インターネット版コラムというかエッセイでござい…。
 まあ、果たして何人が読んでくれるものか、ヒヒヒという感じだが、あるデータによると、わが国のインターネット人口のうち97%が男なのだそうな…。なるほど女性のHomePageにメールが群がるわけじゃわい。1個の卵子に向かって突き進む無数の精子の悲しさを感ずる今日この頃である。

 大体、マルチメディアを標傍する企業くらい怪しいものはないね。インターネット鴨なんて言葉もあるくらいで「言葉の意味は分からんが凄い自信だ」という筋肉マンの実況アナのようなおっさんを丸め込んで日銭を稼いでいるわけじゃろ。ヤクザだねぇ。

 で、思うんだが、メディアの優等生を気取っている「放送局」というのはホントにこのまま生き残れるのだろうか…と最近本気で危惧しておる。まあ危惧といっても私に直接打撃があるわけじゃないのであくまで野次馬的観測なのだが、たぶん現在のスタイルでの放送局は激減するように思えてならない。

 まず、遠い将来には、ハイビジョンクラスの8ミリビデオと編集簡単お手軽ビデオパソコンによって誰もがプログラムの制作(今のパーソナルHomePageの発展型だね)が可能になり、進んだ圧縮技術と、今よりはちっとはマシになっている回線網ならびに低コスト化によって、誰でもパーソナルテレビ局が開局できるようになる。そしてその中から、まともなコンテンツを提供して人気を集めるところが出てくるだろう。無論、商売っけのある人も続々参入するだろうし、現在のパーフェクTVなどによるCS大乱戦どころの騒ぎでなくなるのは確実だ。

 つまり「マスコミなのだ!!」とか言って偉そうに出来るのは今のうちということだな。激烈な就職戦線をかいくぐって◯◯放送とか◯◯テレビなんかに就職された方、おめでとうございます。これからの試練に耐えていって下さいな。

 さてさて、その上で極めて重要になってくるのが、コンテンツの中身ということになってくるだろう。
 10年位前に全国的にブームになったミニFM…その生き残りの1つが我らがfmcなのだが、当時、多くのミニFM局が急激に自滅していったプロセスの中に、実は大きな要素が含まれている。
ただでさえ微弱な電波で限られたエリアしかカバーできない上に、面白くもなんともない素人番組を流してるもんだから、そりゃあ人気が出るわけがない。あまりのリアクションの少なさに殆どの局は数ヵ月、長くもっても1年くらいで閉局の憂き目を見た。で、それ以外はどうだったかというと、あくまで一部だが「エリア拡大をはかる」というPHSのキャンペーンみたいな暴挙に出たわけだな。これは文句なく違法行為なんだけど、それよりも前に、ともかくエリアさえ拡大できればリアクションが増えると単純に考えてしまったところに大きな問題がある。いくらエリアが広がったって中身が面白くなければ、そりゃあ駄目ですぜ旦那。

 ミニFMブームにヒントを得て制度化されたのがコミュニティ局ってやつだが、電波の出力が中途半端なのと、へたに自治体なんかを絡めるもんだから、面白くないことこの上なし。
 熊本市にも1局あるが、ご他聞にもれず電波が届かない。その批判を受けてやったのがアンテナに巻つけるリード線プレゼントキャンペーンというやつだった。
 心が痛む。申し訳ない。でも言わせてもらう。だって株主は熊本市でしょ、私、市税払ってるもんね。
「面白くないんだよ熊本シティFMの番組は!!…」

 放送というのは因果な商売で「努力することは意義にはならず結果だけがモノを言う」ところなのだ。少ない人数と少ない予算でやり繰りするのは大変だろう。でも知恵とセンスが無さすぎる。マイクもいっつもオフぎみで聴いてて実に不快きわまりない。…何故そんなことに気付かないの?

 本当に人気を上げたかったら番組の中身で勝負しなさい。アンテナにリード線を巻つけてでも聴きたくなる番組を作りなさい。(これ、最初で最後のエールのつもり)

 で、これはCS放送にも言えるわけ。一度に100を超えるチャンネルが出来ちゃうんだよね。番組は誰が作るの?ディレクターってそんなに居るの?なんか不安。
 その上、コンテンツ集めも大変みたいですね。どことは言えないけど、複数の会社からうちのfm-monday clubを中継させてくれろというお話が来ている。九州発のインディーズ発信基地としてのポジションを狙っているらしい。面白そうだから多分乗っかると思うが、ギャラが信じられないくらい安いのが難点。やっぱインターネットの方が軽くていいな…。
 ともかくマルチメディア大戦争を生き残るのは結局中身というか質の勝負になる。これからが楽しみ楽しみ。

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