2001年3月上旬執筆(2001年4月号掲載)
(前書き)
昨年秋、クラッカーにFMCのメールサーバのセキュリティホールを見事に突かれてぶっ飛ばされてしまい、一時的に回線不通となる災難に見舞われました。犯人はアメリカに住む大馬鹿野郎Aほか数名だったんですが、実際手こずりました。でもお陰でうちのスタッフが一丸となって燃えましてね、ネット関連企業に就職しているOBまで加わり、徹底的に穴を埋めていきまして最終的に見事撃退となりました。ついでに言うとサーバも1から構築し直しまして、バックアップ体制も万全で再スタートを切りました。お陰で相当強力になりましたよ。サーバ自体も増えましたし、回線も一気に強化することになりましたし…。
でもまぁこういう積み重ねが自らのスキルを高めていくのだなぁなんて実感させられた出来事でした。教訓を沢山得ましたね。ありがとう大馬鹿野郎Aほか数名。(笑)
そんな戦い終わってクタクタモードになっていた私達に明るい知らせが入って来たのは年も押し詰まった12月のある日のことでした。
excite(http://www.excite.co.jp/)という有名検索サイトがあります。ここにカテゴリー別ランキングというのがありますが、部門ごとにクリックされた数でランクが上下する《人気度》を計るには好適なものです。その中の『Webラジオ局ランキング』に以前からFMCは掲載されているのですが(掲載の可否はexciteの裁量に任せられている)、それまでは大手プロバイダ直営のWebラジオ局、主要放送局のWebサイト等いわゆる『メジャー系』に抑えられて、FMCのような『独立系』(インディーズ系とも言う)が上位に食い込むことは極めて稀。せいぜい30〜40位あたりを行ったり来たりというのが毎月の結果でありました。
それが昨年12月、FMCがなんと14位に上がって来ちゃったんですねぇ。明るい知らせですよ。本気で「うわ!すげぇ」って思いました。確かにサーバハッキング戦争が集結して、快適にストリーミングしてもらえる環境には戻っていたんですけど、如何なる理由でFMCが「トップ20」の壁をぶち破ってしまったのか全くの謎でありました。
さて1ヶ月後、新世紀を迎えた新年1月です…。昨年秋に入って来た新人スタッフ達もそろそろ熟(こな)れて来る頃なんですが、その月末にさらなる激震が走りました。
『3位…FMC』なんと怒涛の12ランクアップでトップ10入りしてしまったから驚きです。だってですよ、名前出して申し訳ないのですが、NHKさん、TFMさん、MBS毎日放送さん、J−WAVEさん…みーーんなうちより下位です。あらら九州熊本の極めて零細で宣伝力にも乏しい一介のマイクロラジオが、歴史と伝統ある資本金数百億の東証一部上場大手マスコミをゴボウ抜きにしてしまった。これはニュースになってWeb中を駆け巡りました。
まるで『オリコン』のランキング見て狂喜乱舞するレコード会社のスタッフみたいですが、まるでそのまんまの衝撃が熊本市大江3丁目の4畳半スタジオを駆け巡ったというわけです。
さてさてそんな零細WebラジオFMCは一体どこへ行こうとしているのでしょうか?
実はFMCを訪ねて来られる皆さん口を揃えておっしゃいます「で、将来はどういう展開をしていくの?」って…。その問いに対してこれまで私は完全に口をつぐんでおりました。どなた様にも「さあ、どうなるんでしょうねぇ、ははは…」なぁんてポーカーフェイスをすっかり決め込んでおりましたご免なさいね。…というのはですね、ある程度実績を見せてからでないと「こいつ、夢ばかり語ってる」みたいに受け取られるのが嫌だったからです。それに私は大雑把に見えて実は《人を信用するまで相当な時間をかけるタイプ》でして、2〜3度お会いした程度の方にビジネスプランをひけらかすような大風呂敷でもありません。
で、まぁ他にもいろいろ実績が貯まって来ましたし、そろそろ展望を述べてもバチは当らんだろうということで先日一部関係者向けに公開致しました。これがブロードバンド時代に物事をひっくり返す(かも知れない)FMCの展望です。
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FMCが現実的に目指していること。
◆その1「告知いらず」
なんじゃ?それがビジネスプランなのか!と言われそうですが、実はここが重要なんです。例えばですね、これまで新人スタッフを募集するにもイベントの開催を知らせるにも、新聞や放送など他のメディア様に告知をお願いしなければなりませんでした。Webだけではちょっとキツイものがあったんですよ。特に地元熊本のWeb普及って今イチなところがあったので…。
とは言えこれって相手の気分次第ですからねぇ。載っけてくれない時だって当然あるわけです。まぁ、料金が発生する『広告扱い』にすれば問題はありませんが、こっちはそんな予算なんか持ってませんから、ひたすらメディアサイドの善意におすがりするしかないわけです。
でも、ヤな奴も居るんですよ。何でこんな奴に頭下げなきゃならんのじゃって奴が…。ま、こういう奴に限って私の経歴聞いた途端にペコペコしちゃうことになってるんですが、鬱陶しいことは間違いなし。
しかしFMC自体にアクセスしてくれるお客さんが増えれば自分とこで告知いくらでも打てますし、誰に頭下げる必要もありません。つまりメディアとしての自立ってことですね。…今ですか?今年に入ってからですが、スタッフ募集に関しては外部で告知をお願いする必要は無くなっております。かなり知られて来ましたから。
◆その2「無限の枠」
無限というのは些か大袈裟ですが、普通の放送局が24時間分の番組枠しか持たないのに対して、Webストリーミング放送はCS放送と同じく(あるいはそれ以上)の上限無しの放送枠を有します。要するにサーバの容量を増やせばいいわけですから簡単です。アクセス集中の回避策だってサーバを分散するだけですから何てことありません。肝心のコンテンツに関しても全然問題無し。24時間でも48時間でも何なら72時間でも1日に番組を供給できる編成能力を固めています。
使えないボランティアに閉口している各地のコミュニティFM局様と異なり、徹底した管理体制と競争原理(言い換えれば能力主義。ボランティアであっても向いていない人物はどんどんクビにしていく)をとっているため、必然的に使える面子が揃ってきます。2年くらい前まではうちも仲良しクラブ的な雰囲気がありまして、全然使えない奴でも「まぁ明るくやろうよ」なんてのん気にやっていたんですが、確信を持って方針を大転換させたところ、一時期は多少ぎくしゃくしましたが、結果的にはFMCが推進力を強化することにつながりました。
◆その3「沖縄かもしれない」
いまFMCは制作部門の本隊を熊本に置いたまま本社機能を他に移そうと本気で考え始めています。理由は恐くて言えませんが皆様の御想像と恐らくそんなには違わないでしょう。(笑)
で、いま検討している移転候補地は月並みですが首都圏です。いつ大地震が来るか分りませんが(笑)コネも沢山ありますし、何よりもお金を集めやすいですから。
最初は『神奈川サイエンスパーク』あたりが家賃が安くていいなぁなんて思ってはいるんですが、順番待ちはちょっとキツイかな。…といろいろ夢は膨らみます。
一方、ストリーミングの世界では今沖縄が熱い。ストリーミングソフトの大手『リアルネットワークス社』も沖縄のWebラジオサイトなどに出資したりしてますし、沖縄のネット環境を一気にパワーアップする政策もあって、ひょっとしたら大化けするかも知れないという可能性が出て来ました。CGなどを作る若手弱小集団に馬鹿安な家賃で事務所を貸すような、私が理想とする環境作りも九州本土のそれよりも余程立派に機能しているところもポイント高いです。何より「ソーキそば」と「サーターアンダギー」は美味しい。だから沖縄もいいなぁとは思っているんですけど、マーケットの動きを見てからでないと決断は出来ません。その前に地元熊本がもう少し土台からシャンとしてくれれば無理に動かなくてもいいんだけど…と思います。
◆その4「知的所有権だ!!」
全然知られてないことですが、FMCはWebラジオである以前に『コンセプチュアルインスティテュート』つまり《企画概念を捻出する機関》なのでございます。
私がこれまでに企画した番組・CM・イベント・お店・商品の類いは数知れず。私が企画した何かに読者諸氏も必ずどこかで出会っています。その中には当然特許モノ、実用新案モノが山のようにございます。これまではエージェントを介してやっておりましたので、そこら辺の知的所有権の管理は全部任せっきりでしたが、今年から自前でいろいろとやり始めました。Webストリーミングに関する特許や携帯電話に関する実用新案など、時代を先取ったアイデアを出しまくっております。渋谷でビットバレーとか言ってカッコつけてるITベンチャーも居ますが、熊本から無言で碁石を打ち始めている気色悪い軍団…実はそれがFMCの裏の顔なんですね。FMCのアイデアが入っている携帯電話を知らないうちに使っている…なんて日が来ます。
◆その5〜7「内緒(笑)」
これは言えません。すみませんねぇ。頭のいい方だったら1〜4までお読みになって欠けている重要なものが3つほどあることにお気付きになると思います。それに関する戦略なんですが、これは2年後の私達を見て頂ければ「あちゃ〜、そうだったのか」と感激なさると思います。それまではナ・イ・シ・ョ!
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というわけで、出資したくなりましたかFMCに?ははは・・・だめ?。ふふふ、そのうちなりますよ!…と強気に言っておこうと思ったら「日経平均がドーンと下がった」とTVニュースが言っている。日本の経済はどうなるのでしょう。あな恐ろしや恐ろしや。
あ、FMC今は合資会社ですが、相当やる気が出たので株式会社に変えます。商法の規定で合資から株式への単純移行は出来ないので、一旦清算してから株式会社を作るか、株式会社を作った後で合資会社を合併するかという方法がとられるわけですが、面倒と言えば面倒です。ベンチャーで合資会社を選択したところは多いようなので、発展時の円滑な組織変更を促すためにぜひ商法をいじって頂きたいものだと思います。
さてさてブロードバンドがやって来ないうちに、コンテンツ勝負のみでFMCがランキング上位入賞を果してしまいました。これがブロードバンド時代になるとどうなるか?・・・まさに戦国乱世の到来ですな。大大名でもひっくり返る下剋上の時代です。正直思ってたよりも早く来てしまいましたね。私にとっては嬉しいことですが。
放送会社などが既存の営業力を活かして公的Webサイトの制作を受注しているのをよく見掛けますが、総じてつまらないサイトが多い。リピーターが確保できない美麗極寒サイトのハイ出来上がり!と結局なっているようです。恐いですねWebは、結局コンテンツの出来不出来が人気を左右してしまう。
ParaTの余談コーナー
メールで「この連載。まとめて本にしないんですか?」というメッセージを何通か頂戴してます。Webではバックナンバーも含めて全部読めますが、なんでも専門学校の教材とかで使いたいらしいですな。本にするには九州テレコム振興センターさんにお願いしてみて下さい。(笑)
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